よく読まれている記事
作成日:
更新日:
*記事の内容は、記事公開日時点の情報です。現在とは異なる場合があります。

業務のデジタル化や電子帳簿保存法への対応が求められる中で、紙文書を効率的にデータ化できるOCR(光学文字認識)技術は、今や多くの企業にとって欠かせないツールとなりつつあります。
特に近年はAI技術と組み合わせた「AI-OCR」の登場によって手書き文字や非定型帳票にも対応できる高精度な読み取りが可能となり、活用の幅が急速に広がっています。
本記事では、OCRおよびAI-OCRの市場動向や成長要因に加え、具体的にどのような業務に適用されているのかを整理しながら、導入時に押さえておきたい評価軸や、代表的なAI-OCR製品の特徴についても紹介します。
自社に最適な製品を選定するための比較・検討材料として、ぜひお役立てください。
OCRソリューション全体の市場は、2021年度は低調だったものの、2022年度は堅調に伸びており、2023年度以降も伸長が続くと予想されています。

出展:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「OCRソリューション市場動向2024年度版」(2024年4月発刊)
https://mic-r.co.jp/mr/03110/2022年以降に全体市場が伸びている要因には「インボイス制度の施行」や「電子帳簿保存法への対応」が考えられます。また、DXの推進もOCR市場が伸びた一因といえるでしょう。また、2023年以降も継続的な市場成長が予測されています。
出展:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「OCRソリューション市場動向2024年度版」(2024年4月発刊)
https://mic-r.co.jp/mr/03110/
OCR市場の動向をカテゴリー別に見ると、AI未搭載の従来のOCRである「汎用OCR」の市場の成長はほぼ横ばいとなっていることがわかります。
市場拡大を牽引しているのはAIを搭載したOCRである「AI-OCR」の市場で、2022年度の市場規模は142億円、対前年比121.2%と二桁成長を記録しました。
2023年度以降もAI-OCR市場は右肩上がりで拡大していくと予想されています。OCRソリューションの市場規模推移予測は以下の通りです。

出展:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「OCRソリューション市場動向2024年度版」(2024年4月発刊)※2022年度まで実績、2023年度以降見込み
https://mic-r.co.jp/mr/03110/汎用OCRは定型帳票を取り扱う金融・公共向け案件を中心に活用されていますが、AI-OCRは非定型帳票の手書き文字でも精度高く認識できることからニーズが拡大しており、今後も発展・成長が見込まれるでしょう。
ここからは、AI-OCR市場の動向についてさらに詳しく解説します。
AI-OCR市場が成長した要因のひとつとして考えられるのが、2023年に実施されたインボイス制度の導入です。インボイス制度の導入が始まったことで請求書に記載する項目が増えたことから、データ化へのニーズが急増しました。
さらに、電子帳簿保存法による電子取引データ保存の義務化における宥恕期間が終了し、2024年1月1日から電子的に授受した注文書・契約書・領収書・見積書・請求書などを電子データのまま保存することがすべての事業者において義務化されました。「帳票の電子保存」や「検索性の確保」といった要件を満たす必要が生じたことで、汎用OCRの不得意領域である手書き文書や非定型帳票への対応力が求められるようになり、AI-OCRの需要が拡大しました。
こうした制度的な背景により引き続きAI-OCRの需要が維持されることに加え、人的コスト削減や業務効率化の流れもあることから、今後もニーズの高い状態が続くと予想されています。
汎用OCRとAI-OCRでは、対応できる帳票の種類に大きな違いがあります。汎用OCRの約9割があらかじめレイアウトが決まった「定型帳票」に特化しているのに対し、AI-OCRは6割以上がレイアウトや書式が一定でない「非定型帳票」向けです。
AI-OCRはその柔軟性の高さから、フォーマットが一定でない文書の読み取り・データ化に多く利用されています。実際に、AI-OCRを導入している企業のうち、約88%*が取引先ごとにフォーマットを統一させにくい請求書や領収書などの伝票処理業務に活用しています。
【DX推進の事例】多くの企業がDXの第一歩としてAI-OCRを選んでいます。自社の課題に近いケースを探してみましょう。↗️
*出展:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「OCRソリューション市場動向2024年度版」(2024年4月発刊) https://mic-r.co.jp/mr/03110/現在AI-OCRは生成AIを実装、または連携することでさらなる進化を続けています。
「自然言語処理」が得意である生成AIは、文章の要約や条件に合致する書類の抽出が可能です。また、文の意味を理解しながらデータを処理できるため、書類から必要な情報を抽出して他システムに入力する形式に整えたり、報告書や日報といった文書を要約してナレッジベースへ登録したりといった業務の自動化にも応用されています。
こうした進化により、AI-OCRは単なる読み取りツールから、業務の知的自動化を支える中核技術へと進化しつつあります。
【導入事例】PATPOSTの導入効果を、企業の成功事例でパッと確認~「請求書処理の効率化」「ペーパーレス化の推進」など、貴社のお悩みに近い事例を業界・業種別にご覧いただけます~ ↗️
改めて、AI-OCRの概要を振り返りましょう。
AI-OCRとは、OCRにAIの技術を組み込んだものです。従来のOCR技術は事前に決められたレイアウトや記載位置、項目の形式に基づいて文字を認識するため、これらの事前定義が必要だったり、手書き文字やかすれ、レイアウトの違いに対応しきれなかったりといった課題がありました。
その課題解決に貢献したのがAIです。AIは大量のデータから特徴やパターンを抽出し、自動的に学習を進める技術(ディープラーニング)によって、文字の曖昧な特徴を統計的に判断することができます。そんなAIをOCRと組み合わせることで、OCRはかつてより高い精度を維持できるようになりました。
具体的には以下の通りです。
クセのある手書き文字/かすれ/傾きなど、ノイズを含んだ画像の判断ができる
レイアウトがバラバラな「非定型文書」に対応できる
文字認識の正確性がアップ
自動で書類の種別を判別したり、切り口別でタグづけしたりできる
このように、業務効率やデータ活用の文脈で効果を発揮するAI-OCRシステムは、DXの一環として各企業で導入が進んでいます。
【関連記事】AI-OCRによるペーパーレス化がDX推進の第一歩に!効果や導入例を紹介↗️

AI-OCRの効果を最大限に発揮するためには、自社の課題に合った評価軸で製品を選ぶ必要があります。ここでは、課題別にAI-OCRシステムの評価軸を紹介します。
なお、市場シェアや評価軸を正しく理解するためにはAI-OCRの理解は欠かせないため、基本を押さえておきたい場合は以下の記事をご覧ください。
【関連記事】AI-OCRとは?従来のOCRとの違い、メリットを解説↗️
紙文書で蓄積された過去のナレッジやさまざまな記録を活用するためには、記載内容の分類や検索性を可能とするデータベース化が必要です。
一方で、例えば「AI-OCRでデータ化した文字情報を透明テキストとしてpdfファイルに埋め込み、そのファイルを人の手でクラウドストレージに格納する」といった運用では工数がかかるため、効率化の観点ではRPAやノーコードツールを活用して運用の自動化を図ることが望ましいといえます。
ただし、こうした仕組みを設計・運用するリソースが確保できない企業も少なくありません。 AI-OCRで取り込んだデータを業務でスムーズに活用したい場合には、AI-OCRシステム自体にデータベースを有しており、なおかつ検索が手軽なシステムが評価の対象となるでしょう。
検索性の高いAI-OCRシステムの評価軸の例は以下のとおりです。
OCR処理後のデータに自動でタグ付けされるか
帳票の内容に応じて自動分類されるか
文書管理システムと連携し、検索性が高まる設計になっているか
人件費の削減を目的としてAI-OCRを導入する企業は少なくありません。しかし、AI-OCRの読み取り精度が低い場合、誤認識された箇所の確認や修正作業が増え、かえって手間がかかってしまうこともあります。
コスト削減のためにAI-OCRを導入するのであれば、読み取り精度の高さが重要視されるでしょう。次の項目が評価軸となります。
認識精度
誤認識時の修正コスト
システム学習による精度改善機能の有無
特に、手書き文字への対応力や、非定型帳票の精度はシステム選定の結果を左右します。
AI-OCRに組み込まれている代表的な人工知能モデル「LLM(大規模言語モデル)」の仕組みや技術について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
【関連記事】LLMを使ったOCRとは?仕組みとメリット・適した業務を解説 ↗️
OCR後のデータをスムーズに基幹システムや製品に取り込みたい場合は、AI-OCR単体の性能だけでなく、既存の社内システムとの連携に必要な機能が搭載されているかも評価軸となります。読み取ったデータを、そのまま社内の管理システムやファイル保存先に送信できるかどうかも重要なポイントです。
社内システムとの連携を重視する場合は、次のような項目が評価軸となるでしょう。
APIやWebhookなどの外部連携機能の有無と柔軟性
出力フォーマットの選択肢
フォルダ連携やクラウドストレージとの自動保存機能
導入前に、既存の業務システムとの接続実績があるかどうかをベンダーに確認しておくと安心です。
【関連記事】クラウド型 OCR とは?オンプレミス型との違いを踏まえた選定のヒント ↗️
大量の書類を読み取りたい場合には、一括処理に適した機能が搭載されているかも評価ポイントです。特に、日次・月次で大量の帳票を扱う部署の場合、処理の自動化と安定性が非常に重要となります。
一度に処理できる書類の量を重視する場合には、次のような項目が評価軸となるでしょう。
バッチ処理の対応可否
同時並列処理数と1件あたりの処理速度
読み取りエラー時のスキップや自動再処理機能
クラウド型のAI-OCRの場合には、サーバーリソースの増減によって処理速度が変わることもあるため、最大処理可能件数やピーク時の対応力も確認しておく必要があります。
請求書や顧客情報など、AI-OCRが扱う帳票には多くの機密情報が含まれます。特にクラウドサービスを利用する場合には、情報漏洩や第三者アクセスのリスクに備えなければなりません。
セキュリティを確認するためには、次のような機能が評価軸となります。
通信・保存データの暗号化
操作ログの取得・保管機能
アクセス制御
セキュリティ認証の取得
情報の漏洩や流出によって信頼を失うこともあるため、特に機密情報を扱う場合には念入りにセキュリティ関連の機能を確認しておく必要があります。
【関連記事】「AI-OCR、使えない…」と感じるケースと対策|高い導入効果を発揮する選び方とは ↗️
AI-OCRには、さまざまなサービスがあります。ここでは、主要なAI-OCRサービスの例を紹介します。
出典:各ベンダーWebサイトにおける2025年5月時点の記載よりPATPOSTは、オリックス株式会社が提供するAI-OCR搭載の文書管理サービスです。全文検索や項目抽出機能を備え、目的の情報を素早く探し出すことができます。
またストレージ機能も搭載されており、読み取ったデータはAIが情報を整理して、自動で検索できる状態に整えます。目的のファイルを簡単に抽出できることでフォルダ分けやファイル命名を効率的に行えて、共有*1もスムーズに行えます。
さらに指定項目抽出AIにより、ユーザーが必要とする項目と、それに即したデータだけを抽出してCSV形式で出力できるため、Excelや業務システムに取り込みやすく、集計・分析といった二次利用にも適しています。直感的な操作性で、ITに不慣れな現場でも導入・定着しやすいのが特長です。
月額基本料金6,400円(税抜)*2からと低コストで利用でき、初年度の1カ月は無料*3 で利用することができます。
*1 取引先と共有する場合は、取引先がPATPOSTを利用しているか、取引先に自社で契約したIDを付与する必要があります。*2 法人プランの場合の月額基本料金で5IDまで利用可。6ID以降は1IDあたり月額1,280円(税抜)となります 。契約期間は1年。期間中の解約不可。契約終了日の30日前までに解約通知がない場合、自動更新。 *3 法人プランの場合。無料期間中は解約が可能ですが、無料期間経過後は11カ月分のご請求が発生します。DX Suiteは、AI inside株式会社が提供しているAI-OCRシステムです。
活字だけでなく傾いた書類や手書き文字にも対応する高精度な文字認識で、非定型帳票の読み取りに対応。紙書類やFAXなど、現場で使われるリアルな帳票にも強い点が魅力です。RPAや各種システムとのAPI連携が可能で、読み取ったデータを会計ソフトや販売管理システム、CRMなどと連携して自動処理に組み込むことができます。
スマートOCRは、株式会社インフォディオが提供しているAI-OCRシステムです。
AIによるディープラーニングを活用し、手書き文字や非定型帳票に対応。アンケート・請求書・見積書など多様な帳票に適用でき、取引先ごとに異なる形式でも入力作業を大幅に削減できます。
スマホアプリとも連携可能で、紙書類をスマホ撮影するだけで即座に読み取り処理ができるため、入力の手間を減らせるだけでなく、リアルタイムでの情報収集や処理が可能となります。
OCRソリューション全体の市場は2022年以降拡大傾向にあります。
AI-OCRにおいては市場が拡大し競争が激化する中で選択肢は増えていますが、シェア上位の製品が必ずしも自社の業務に最適であるとは限りません。製品を選択する際には、自社の課題にマッチしたものを選ぶことが重要です。
導入目的が「手書き帳票の読み取り」であれば読み取り精度や補正機能。「文書の保管」や「データ分析」であればストレージ機能や指定項目抽出機能など、自社の業務や帳票の種類に合わせて比較する観点は変わります。
機能とコストを見据えたうえで、複数製品の比較・検討を実施していきましょう。
【無料セミナーアーカイブ】目的や事例から学ぶAI-OCR活用術
~業界別・お悩み別ユースケース、失敗しない活用術の実例紹介など、「自社の場合、具体的にどうすればいいの?」をデジタル化の専門家が解消します~↗️
備考
・本記事は、デロイト トーマツ ミック経済研究所が出版する「OCRソリューション市場動向 2024年度版(2024年4月発刊)」に依拠して掲載しております。
・同レポートの詳細をご覧いただく場合、下記リンクからお買い求めいただけます。
https://mic-r.co.jp/mr/03110/
サービスの概要・料金についてや文書管理に関するお悩みなどお気軽にお問い合わせください。