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【インボイス制度対応】立替払いの精算方法について解説

作成日:2024.5.31

更新日:2026.9.28

【インボイス制度対応】立替払いの精算方法について解説

*記事の内容は、記事公開日時点の情報です。現在とは異なる場合があります。

本記事では、第三者(取引先および従業員など)が立替払いを行った場合に仕入税額控除を受けるための精算方法についてご説明します。

立替払いとは

立替払いとは、第三者が支払うべき費用を、その第三者に替わって支払うことをいいます。

事業者間の取引において、自社が支払うべき商品やサービスの費用を取引先が一時的に支払い、後に事業者間で精算を行う場合や、従業員が会社の経費につき会社の代わりに一旦支払いを行い、のちに会社との間で精算を行う場合があります。

立替払いを受けた場合の問題点

自社が立替払いを受けた場合には、一旦第三者が経費の支払い先に対して支払いを行うことになるため、経費の支払い先は第三者に対して適格請求書(以下、インボイス)を発行することになります。

適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)において、仕入税額控除の適用を受けるためには、以下の必要事項が記載されたインボイスの保存が必要です。

①インボイス発行事業者の氏名または名称および登録番号
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容および軽減対象資産の譲渡等である旨)
④税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額および適用税率
⑤税率ごとに区分して合計した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

しかし、立替払いが行われた場合、インボイスには「⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」として立替払いを行った事業者名が記載されることとなり、課税仕入れを行った事業者名の記載はされません。

つまり、このインボイスでは課税仕入れを行った事業者は仕入税額控除を受けられないことになります。

分かりやすく図にしてみましょう。

(A)からすると、⑥の「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」が記載されていないこととなり、(C)が発行した(B)あてのインボイスの写しを保存するだけでは、仕入税額控除を受けられないこととなります。

そこで、立替払いが行われた場合に、仕入税額控除の適用を受けるための方法について、以下解説します。

会社間の取引で立替払いを行う際のポイント

上図のとおり、(B)が(A)の経費を立て替え、(C)に支払いをした場合、(C)から(B)にインボイスが交付されます。(A)は(B)あてのインボイスの写しを受け取りますが、それだけでは、上述の⑥「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」を満たすことができていません。

(A)が仕入税額控除の適用要件を満たすためには、(B)あてのインボイスの写しに加え、立替金精算書などの交付を受けることにより、経費の支払先である(C)から行った課税仕入れが(A)のものであることを明らかにする必要があります。

「立替金精算書」とは、第三者が自社の代わりに経費などの立替払いを行った場合に、その支払いが自社の仕入に関するものであることを証明してもらうための書類です。上述の例の場合、(B)が(B)の経費の支払いではなく(A)の経費を立替払いしたものであることを証明するための書類であるともいえます。

「立替金精算書」には決まったルールはありませんが、インボイスが立替払いを受ける側のものであることを、証明する必要があります。そのため基本的には、課税仕入れを行った(立替払いを受けた)事業者がどこか、立替払いを行った事業者の名称、仕入先の名称、支払日、支払内容および支払金額を最低限記載したうえで、可能な限り、上述の①~⑥を網羅する内容とすることが望ましいと考えられます。

原則として、(A)は、(C)から(B)あてに交付されたインボイスの写しと(B)発行の「立替金精算書」を受け取り保存します。

ただし、(B)が(A)のために多数の立替払いを行っており、インボイスの写しを交付する作業が煩雑となることも考えられます。

そのため、立替払いを行った(B)が、写しを交付することが困難なときは、(B)が(C)から交付を受けたインボイスを保存し、(A)に「立替金精算書」を交付することにより、(A)は(B)が作成した「立替金精算書」の保存のみをもって、仕入税額控除を行うことができるとされています。

その場合、立替払いを行った(B)は、その立替金が仕入税額控除可能なものか(インボイス発行事業者からの仕入れか、インボイス発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また、適用税率ごとに区分するなど、(A)が仕入税額控除を受けるに当たっての必要な事項を「立替金精算書」に記載しなければなりません。

なお、適格簡易請求書(以下、簡易インボイス)(※1)には上述の⑥「書類の交付を受ける事業者の氏名または名称」を記載する必要はないので、インボイス事業者から立替払いを行った事業者に対し簡易インボイスが交付された場合は、「立替金精算書」は不要です。また、仕入先(C)が発行するインボイスのあて名を、事前に控除を受ける側の事業者名(A)にしておいてもらっておいてもよいでしょう。

従業員が立替払いを行う際のポイント

会社において、従業員が会社の経費(たとえば出張費や消耗品の購入など)を立替払いすることがあります。

従業員が立替払いを行った場合、経理において「消耗品費」や「交通費」など、具体的な勘定科目で処理するとともに消費税の課税区分を記載します。

会社間取引の場合とは異なり、従業員は会社あてのインボイスを受け取ることができますので、会社あてのインボイスをもらい忘れないようにする必要があります。会社あてではなく、従業員あてのインボイスを受け取ってしまった場合には、上述と同様に、従業員に「立替金精算書」などを作成してもらい、従業員あてのインボイスと併せて保存することが必要となります。

立替払いの内容によっては、インボイスの交付を受けることが困難な場合が想定されます。その場合、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる「課税仕入れ(※2)」に該当することが確認できた場合には、仕入税額控除を行うことができます。一定の事項を記載した帳簿を保存すれば、インボイスおよび「立替金精算書」などの保存は不要となります。

まとめ

インボイス制度に対応した立替払いの精算方法についてご説明しました。
第三者が立替払いを行った場合、仕入税額控除を受けるためには、通常のインボイスの受領だけでは足りず、原則として「立替金精算書」を作成してもらう必要があります。くれぐれも対応方法を正しく理解しておきましょう。

※1:インボイス発行事業者のうち、不特定多数の者に商品やサービスを提供する事業者(飲食店、タクシー業者など)が発行できるインボイスです。いわゆる領収書やレシートなどが当たります。
※2:❝課税仕入れとは、商品などの棚卸資産の仕入れ、機械や建物などの事業用資産の購入または賃借、原材料や事務用品の購入、運送などのサービスの購入、そのほか会社が事業として他の者から資産を譲り受けることなどをいいます。これは、仕入先が免税事業者や消費者の場合でも課税仕入れに当たります。ただし、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れは、原則として、仕入税額控除の対象とはなりません。また、土地の購入や賃借などの非課税取引、課税対象とならない給与、賃金などは課税仕入れに含まれません。❞
(引用:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.6355 課税売上げと課税仕入れ」)
https://www.nta.go.jp/

写真:shutterstock

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