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転記時間50%削減、品質管理も強化。オリックスが物件概要書作...

オリックス株式会社

転記時間50%削減、品質管理も強化。オリックスが物件概要書作成で目指す業務改善の本質

規模

: 1000人以上

業界

: 不動産業

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    導入前の課題

    ・年間約1750件の物件概要書作成において、担当者一人が転記とチェックを兼務する属人化した体制
    ・営業担当が作成する物件情報の記載内容や粒度にばらつきがあり、品質が不安定
    ・自己チェックの限界により、転記漏れや見落としのリスクが存在

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    PATPOSTを選んだ理由

    ・電子帳簿保存法対応で既に導入済みのツールを活用でき、追加投資やシステム改修が不要
    ・PDFからCSV出力機能があり、物件概要書出力システムのCSVインポート機能と連携可能
    ・既存ツールの活用によるスモールスタートが実現できる

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    導入の成果

    ・1件あたり15分、年間約437.5時間(約50%)の削減見込み
    ・システム転記と人によるチェックの役割分担により、客観的なチェック体制を確立
    ・品質の一定化により属人化を解消し、人の入れ替えに強い体制を構築

  • オリックス株式会社ビジネスコンサルティング事業部は、オリックス法人営業本部の不動産仲介業務における物件概要書の作成を一手に担っています。対象件数は年間約1750件。営業担当が作成した物件情報と法務局から取得した不動産登記簿謄本 (以降「不動産謄本」)をもとに、顧客や次工程に提出する正式な物件概要書を作成する業務です。この業務には、スピードと精度の両立が求められます。同事業部では、属人化と品質のばらつきという課題に直面していました。

    2025年10月から開始したPATPOSTの活用により、年間約437.5時間(従来作業時間の約50%)の削減見込みとシステム転記による客観的なチェック体制を確立。その成功の背景には、現場の声を丁寧に拾い上げたUAT(ユーザー受け入れテスト)期間中の柔軟な軌道修正がありました。

    導入背景:属人化とチェック体制の不在

    年間約1750件を支える、見えにくい負担

    ビジネスコンサルティング事業部では、年間約1750件の物件概要書を作成しています。物件所在地、面積、権利関係、取引条件、備考など30項目の転記が必要です。営業担当が作成した物件情報と不動産謄本(いずれもPDF)から、これらの項目を物件概要書出力システムへ転記し、PDF形式で出力します。1件あたりの所要時間は30分でした。

    属人化と品質のばらつき

    物件情報と不動産謄本のPATPOST導入前のフロー図

    課題は作業時間だけではありませんでした。担当者が一人で30項目すべての転記を行い、転記内容のチェックも自分自身で実施せざるを得ない状況でした。また、営業担当が個別に作成する物件情報は、作成者によって記載内容や粒度にばらつきが生じていました。

    2024年11月、ビジネスコンサルティング事業部のスタッフが集中的に作成業務を担う運用を開始しましたが、属人化や品質のばらつきといった課題は依然として残っていました。スタッフリーダーの髙倉 里佳は、次のように語ります。

    ― 髙倉

    「とにかく業務を属人化しない運用に変更することを目指しました。ベテランスタッフに頼りきりの体制では、人の入れ替えがあったときに品質を維持できません。スピードと精度の両方を、安定的に担保できる体制を構築する必要がありました」

    髙倉1名が座ってにこやかに会話している写真

    なぜPATPOSTか:既存ツール活用でスモールスタート

    オリックス株式会社では、電子帳簿保存法対応用のストレージとして既にPATPOSTを導入していました。PATPOSTにはPDFから抽出したデータをCSV形式で出力する機能があり、物件概要書出力システムがCSVインポートに対応していたため、追加の大きな投資もシステム改修も不要でした。

    プロジェクトは2025年6月にスタート。社内のDX推進を担うデジタル戦略推進室のメンバーがプロジェクトリーダーを務め、7月中旬から8月下旬までの約1.5カ月間、UAT(ユーザー受け入れテスト)を実施。全スタッフ7名が参加し、71物件で実務を再現しながら検証を進めました。

    UAT期間の学び:「謄本は外す」という柔軟な判断

    当初の計画では、物件情報と不動産謄本を一つのPDFに結合し、PATPOSTにアップロードする想定でした。しかし、UATを進める中で二つの課題が明らかになりました。

    - 不動産謄本の抽出精度が不十分

    物件情報の項目は高い精度で抽出できる一方、不動産謄本からのデータ抽出は十分な精度が得られませんでした。特に「地積」項目では、更新前の古い数値に下線が引かれているものを古い情報として認識できず、誤って古い数値を抽出してしまうケースがあり*、手作業による修正が必要となりました。

    *UAT実施当時(2025年8月)の状況

    - PDF結合作業が煩雑

    物件情報と不動産謄本を一つのPDFに結合する作業自体が手間となり、むしろ業務負荷を増やす結果になっていました。

    現場の声を受けた運用変更

    プロジェクトリーダーは、この現場の声を受けて運用を変更。最終的な運用では、物件情報のみをPATPOSTにアップロードし、不動産謄本は手入力とする方針を採用しました。不動産謄本は書式が決まっているため、手入力の負担は比較的小さいと判断しています。

    UAT終了時の評価は、7名中6名が導入効果「高」、1名が「中」でした。「中」評価の理由はPDF結合の煩雑さとインポートエラーでしたが、運用変更の背景と効果(PDF結合作業の削減、不動産謄本は定型フォーマットのため手入力負担が小さいこと)を現場メンバーへ丁寧に説明。結果として、最終的には全員が「高」評価となり、本番リリースが決定しました。

    導入効果:転記時間を半減、品質管理体制も強化

    定量効果:1件15分、年間約437.5時間の削減見込み

    PATPOST導入後の定量効果として削減時間の棒グラフと円グラフ

    PATPOSTの導入により、1件あたり15分の削減効果を実現しました。

    従来は、物件情報と不動産謄本を物件概要書出力システムへ転記するために30分を要していましたが、物件情報(PDF)から必要なデータを抽出してCSVを生成し、システムへインポートすることで転記作業を自動化。15分の作業時間削減が可能となりました。

    年間約1750件を処理する場合、従来の年間875時間から約437.5時間へ短縮する予定です(約50%削減)。加えて、PATPOST処理中の約10分間は待機時間として他業務に充当できるため、実質的な生産性向上効果はさらに高まります。

    定性効果:品質管理体制の強化と属人化の解消

    物件情報と不動産謄本のPATPOST導入後のフロー図(定性効果)

    システムが転記し人がチェックするという役割分担が明確になりました。以前は担当者自身が転記と確認の両方を行っていたため、自己チェックの限界がありましたが、PATPOST導入後はシステムが転記した結果を担当者が客観的に検証できる体制となり、確認精度が向上しています。
    また、転記漏れが防止されるようになりました。人の目では見落としがちな小さな文字(例:備考欄の6ポイント文字)や、物件情報の隅に記載された追加条件なども正確に抽出されるようになりました。 さらに、品質が一定化したことで、人の入れ替えがあっても一定の精度を担保できる体制が整いました。

    現場の声:経験値による評価の違いと組織的判断

    UAT期間中、プロジェクトチームは1on1形式で現場メンバーの本音を丁寧に聞き取りました。その結果、経験値によって評価が分かれることが分かりました。

    新人・中堅スタッフの声

    「使っているうちに使いやすくなってきます」
    「どこに書いてあるの?と迷うような小さい字も自動転記できるので助かります」
    「異動してきたタイミングだったので、手入力の運用を知らず、抵抗なく使えました。むしろ安心感があります」

    ベテランスタッフの声

    一方、ベテランスタッフからは慎重な声も上がりました。

    「自分で入れたほうが早い気がします」
    「精度が100%ではないので、チェックに負荷を感じます。時短にはならないのではないでしょうか」

    組織としての判断

    髙倉は、この意見の相違を次のように受け止めました。

    ― 髙倉

    「経験豊富なスタッフほど、これまでの業務に習熟しているため、新しいツールへの切り替えには慎重になることがあります。ただ、組織として長期的な視点で考えたとき、ずっと同じメンバーがいるとは限りません。ちょうど人員入れ替えのタイミングでもあり、新しく加わったメンバーからは『手入力の運用を知らないので、むしろPATPOSTのほうがわかりやすい』という声も上がりました。組織として、新人でも一定の品質を担保できる仕組みを重視する判断をしました」

    プロジェクトチームは、強制的な導入は行いませんでした。新しい運用を慎重に検討するメンバーには、「利用価値がある」と感じる部分から使ってもらうスタンスを貫き、段階的に標準運用への移行を進めました。

    成功要因:現場の納得を重視した段階的な標準化

    本プロジェクトの成功要因は、3つに整理できます。

    - 現場の納得を重視した標準化

    全件を一律に切り替えるのではなく、新しい運用を慎重に検討するメンバーには、利用価値を実感できる業務から使ってもらうことで、段階的に標準運用への移行を進めました。無理に押し付けるのではなく、現場が納得するプロセスを経て標準化することを重視しています。

    - 新人目線の重視

    ベテランの「早さ」を尊重しながら、組織全体の「安定性」を重視しました。人員入れ替えを見据え、誰でも一定の品質を出せる仕組みを構築することが、長期的な組織力向上につながると判断しました。

    - 心理的安全性の確保

    「間違っていても機械のせいにできる」という声は、ダブルチェック体制により個人の責任が分散され、チェック精度が向上したことを意味します。

    ― 髙倉

    「PATPOSTを使うことで、『どこに書いてあるの?』と迷う時間が減り、チェック精度も高まります。質が一定になることが、長期的には組織にとって最も重要だと考えました」

    ビジネスコンサルティング事業部の髙倉、脇本、長濱が座って談笑している画像と、ビジネスコンサルティング事業部の冨田、矢上が座って談笑している画像

    まとめ:「時短」だけが業務改善のゴールではない

    この導入事例が示すのは、「時短だけが業務改善のゴールではない」という事実です。本プロジェクトでは、1件あたりの転記時間が半分になりましたが、さらに重要な成果が3点あります。

    1. システム転記による客観的なチェック体制の確立 : 同じ工数の中で品質管理を強化

    2. 属人化の解消 : 人の入れ替えに強い体制の構築

    3. 心理的安全性の確保 : チェック精度向上と個人負担の軽減

    ビジネスコンサルティング事業部では今後、「専門作業を単純作業に」変換し、将来的には外部パートナーへの委託可能な形に整備していく方針です。ベテランスタッフのキャパシティーを広げ、業務の標準化をさらに推進していく予定です

    現場の本音を丁寧に拾い、柔軟に軌道修正する。その姿勢が、真の業務改善を実現する鍵となります。

    ※本記事は2026年1月時点の取材内容に基づいています。
    ※所属部署・役職、ならびにPATPOSTの契約条件(利用料金等)は取材当時のものです。

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