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AI-OCR活用4年の法律事務所が語る、現実的な導入の作法 ...

司法書士法人中央事務所

AI-OCR活用4年の法律事務所が語る、現実的な導入の作法 中央事務所が実践してきた、AIとの付き合い方 

規模

: 100~299人

業界

: コンサルティング業

  • report_problem

    導入前の課題

    ・オンプレミス型AI-OCRのコストが月240万円(年2,880万円)と高額
    ・FAXの潰れ文字や枠線なし書式は読み取れず、手作業の例外処理が発生
    ・書式ごとに明細の抽出条件を指示するテンプレートを作成する必要があり、その数が最大280件に増加
    ・AI-OCR運用に5名が従事し、人的リソースが圧迫されていた

  • lightbulb_outline

    PATPOSTを選んだ理由

    ・枠線なし書式・FAX潰れ文字にも対応できる読み取り精度
    ・自然言語設定で複数書式を1テンプレートでカバーできる柔軟性
    ・クラウド構成によりサーバー保守コストと運用工数を削減
    ・4年分の精度データをもとに、体感ではなくデータで比較・判断

  • timeline

    導入の成果

    ・コスト削減:月約210万円(年約2,500万円)を削減
    ・読み取り精度:約30ポイント上昇(60%→90%*)し、手作業の例外処理が減少
    ・テンプレート数:280→92件に削減
    ・AI-OCR運用担当:5名→3名に縮小
    ・作業時間:1件あたり20〜30分→10〜20分に短縮
     *司法書士法人中央事務所の運用記録に基づく数値

  • 司法書士法人中央事務所は、不動産・商業登記や相続、生前対策、借金整理(過払い金返還請求・債務整理など)まで幅広く取り扱い、全国からの相談に対応する司法書士法人です。

    毎朝届く取引履歴は、紙・PDF・FAXと形式もさまざまです。仕分け→スキャン→PATPOSTで読み取り→Excel検算→基幹システム連携、という一連の処理を、多い日は1日約1,000件こなします。

    調査課は、この一連の処理を行い、過払い金計算書の作成を担う部署です。現在は3名で対応していますが、以前は5名がかりで取引履歴を基幹システムへ手入力するなど、属人的な作業が中心でした。

    かつての非効率な処理体制から、どのようにして現在の姿にたどり着いたのか。その答えは、4年前に始まった試行錯誤の中にあります。

    1章 A社導入の背景と、積み上がった課題

    コロナ禍における問い合わせの急増が引き金に

    2020年、コロナ禍が始まった年のことです。将来への不安から、過払い金の返還請求を考える人が一気に増えました。中央事務所への問い合わせは急増し、取引履歴の計算業務がまったく追いつかなくなりました。

    「コロナ禍でお客さまが増えて処理が間に合わない。人も採用できず、外注も試みたが費用面もあり、根本的な解決にはならないので、AI-OCRの検討を始めました」(副代表 山下さま)

    月240万円、A社を選定

    こうした状況を受けて代表がAI-OCRの導入を決断。複数のサービスを比較検討した結果、A社(他社AI-OCR製品)の選定に至りました。月240万円は決して安くはありませんでしたが、当時の選択肢の中では最善と判断しました。読み取り精度と実績の面で、A社が最も高い評価を得ていたためです。

    一定期間の試験導入を経て使用感が良好だったため、オンプレミス型AI-OCRプランの契約へと進みました。

    4年間、精度を数値で記録

    A社を使い始めてから、事務局の伊藤さまは実務を通じてAI-OCRの知見を積み上げていきました。何ができて、何ができないか。どんな書式が得意で、どんな書式が苦手か。精度はどの程度出るのか。

    ただ、経験として蓄積するだけではありませんでした。伊藤さまは、各書式の読み取り精度を平均正解率として数値で記録し続けました。さらに、手作業とOCR運用それぞれの作業時間(分)、手戻りが起きる工程、検算シートで検出されたミスの傾向などを、運用ログとして蓄積していました。

    現場の運用を正確に把握するために自然と続けていた習慣だったそうです。しかし、この積み上げが、後に他社サービスと比較検証する際に大いに役立つことになります。

    毎年検証するも、よりよい製品なし

    A社を使い続けながらも、伊藤さまは更新のたびに他社サービスを検証してきました。しかし読み取り精度がA社に及ばず、見送り続けてきました。2024年には、導入当初にA社と比較していたB社も改めて検証しましたが、精度に大きな差がなく、価格も低くはなかったため、これも見送りとなりました。

    月240万円という固定費は、無視できないコスト負担でしたが、「精度を下げてまで安くする」という選択は取れませんでした。読み取り精度は、業務の処理品質に直結するからです。

    2章 精度・テンプレート数・コスト――PATPOSTへの切り替えの決め手

    転機が訪れたのは、オリックス株式会社の担当者からPATPOSTの提案を受けたことでした。検証してみると、A社では読み取れなかった書類が、PATPOSTでは読み取れるケースが増えていました。

    PATPOSTが評価されたポイントは、大きく分けて3つあります。

    ①読み取り精度が向上

    PATPOSTの読み取り精度は、次のような特徴がありました。

    • 枠線なしの書式への対応

      A社が苦手とした枠線なしの書式にも対応しているため、処理できる書類の幅が広がりました。

    • FAXで潰れた文字への対応力

      FAXの潰れ文字は、A社では読み取れないケースが多発していました。PATPOSTはこうした文字への対応力が上回っていました。

    「文字が潰れていても問題なく読める。現場はすごく喜んでいました」(伊藤さま)

    とはいえ、伊藤さまが導入を決めたのは現場の声だけではありません。4年分の精度データがあったことで、体感ではなくデータで議論できたため、所内の合意形成につながりました。

    ②テンプレート数の削減

    A社は座標指定のため、書式が変わるたびに新しいテンプレートが必要でした。PATPOSTは自然言語による指示で複数の書式に対応できるため、テンプレート数は280から92へと削減されました。

    PATPOSTの活用は調査課にとどまらず、社内のマーケティング部門でも展開されています。同部門では60以上あったテンプレートが5種類程度に集約され、テンプレート作成にかかる時間も1件あたり30分前後から10〜20分へと短縮されました。

    ③コスト削減

    副代表の山下さまが切り替えの決め手として挙げたのは、コスト面でした。月240万円から大幅に下がり、年間で約2,500万円のコスト削減効果が生まれました。加えて、オンプレ構成が不要になったことで、サーバー保守や運用担当者の工数(月2〜3時間)も削減されています。

    運用体制の変化

    PATPOSTによる改善は、数字の変化にとどまらず、現場の働き方を変えました。

    • 読み取り精度の向上 → 基幹システムへ一括入力する手前のデータ補正工数が減少

    • FAX潰れ文字への対応 → 手作業の例外処理工数が減少

    • テンプレート数の削減 → 新規作成・管理の工数が減少

    これらの工数削減が積み重なり、AI-OCR運用は5名から3名で対応できるようになりました。

    3章 Excel検算で精度不足を補う仕組み

    精度60%台(A社)でも止まれなかった

    2020年のA社導入当初、精度が60%程度にとどまる書式もあり、現場から「使いません」という声が上がりました。しかし案件は急増中。人手では処理しきれない現実があり、「使わない」は選択できませんでした。

    工数比較で「60%超」の基準を作った

    そこで伊藤さまは、「手入力で処理する場合」と「AI-OCRを挟む場合」の工数を、工程ごとに分解して数値化しました。

    比較の軸にしたのは、手作業100%に対して、AI-OCR導入後に“人が触る作業(修正・確認)”がどれだけ減るかでした。

    (目視確認+手入力+検算・チェック+基幹システム入力)
      >(OCR読み取り+出力+補正(人の修正)+検算+基幹システム入力)

    実際に計測してみると、OCRで正しく自動取得できる項目が60%を超えていれば、残り40%を人が補正して検算する運用でも、手入力中心の手作業より総作業量が小さくなる、という結論が出ました。この結果が、「精度60%超なら、AI-OCRを使った方が効率的」という判断基準になりました。

    「では、これを実際に手入力する場合何分かかりますか、というお話をして、それがAI-OCRを使用するだけでほぼ読み取りしてくれたら楽ですよね、というお話を何回かすると、確かにそれは便利かも、と納得してくれます」(伊藤さま) 

    Excel検算が、精度不足を補う仕組みに

    その一方で、精度100%でない分をどう担保するか。
    取引履歴はすべて金額で構成されるため、数値の整合性は必ず検算できます。そこでExcelマクロを組み、AI-OCRの読み取り結果を自動検算する仕組みを構築。以来、現場での問いは「精度は十分か」から「誤りに気づける設計か」へと変わりました。

    PATPOSTに切り替えてからは、読み取り精度が80%〜90%、実務者の体感によってはそれ以上出ているとのことです。A社時代に作り上げた「精度をExcelで担保する」という仕組みはそのままに、精度そのものが底上げされました。

    4章 定着の工夫と活用の広がり

    ツールが整っても、人が動かなければ意味がありません。では、なぜ中央事務所では切り替えがスムーズに進んだのでしょうか。

    唐突感ゼロは、日常共有が土台

    伊藤さまに特別な導入計画があったわけではありません。日頃から「より良いサービスを探していること」を部門長以上に自然に伝え、課員にもPATPOSTを見つけたことをそのまま話していました。検証2カ月前に「良いものが見つかったのでやります」とメールを送った時、誰にも唐突感はなく、「やっとツールが決まったか」という反応だったといいます。

    また、課員がもともとAIに親しみを持ち、自然言語での指示に慣れていたことも、PATPOSTの定着を後押ししました。コツをほとんど説明しなくても、テンプレート作成の理解が進んだといいます。

    期待値の正確な共有が、定着の鍵

    伊藤さまが他部署への展開時に必ず行うことがあります。AI-OCRができることとできないことを、具体的な作業イメージとともに伝えることです。

    「AI-OCRは文字起こしまで。その先の、欲しいExcelの形にするには、マクロや手作業が必要ですよ」(伊藤さま)

    「入れれば全部魔法のように完成する」という期待を持ったまま導入すると、最初の失望が抵抗に変わります。期待値を現実に合わせて設定することが、定着を進めやすくする有効策の一つだということを、4年間の実務経験が証明しています。

    コスト削減が、他部署への広がりに

    導入当初はボリュームが最大の調査課だけで始め、効果が出てから他部署へ広げていきました。

    コストが大幅に下がったことで「うちも使いたい」という声が自然に上がり、現在は和解書・マーケティング部門でも活用が進んでいます。クレジットカード明細からのキーワード抽出など、新たな用途の検証も始まっています。

    おわりに AIは道具である――「どう使うか」を考える一歩

    「100%でないなら使わない」から「どう使うか」へ

    インタビューの終盤、伊藤さまはAI導入に躊躇している企業へのメッセージを語ってくれました。

    「ここまでAIが普及してきていて、それを避けてどうこうできる時代ではないなと思います。100%の精度じゃないからやめておこう、と思っていらっしゃる方がいるならば、そこは、どう使っていくかを考えた方がいい」(伊藤さま)

    「AIやシステムを、自分より上の存在として身構える人がいます。でも、使うかどうかを決めるのはこちら側。現場が抵抗を感じるのも、仕事を奪う敵だと思うからで、敵ではなく道具、むしろ友達だと思えば変わります」(伊藤さま)

    副代表の山下さまも、こう付け加えました。

    「多少冒険になってもトライしていく価値はあると思います。AIの進歩が目覚ましい中で、読み取りやすい書面の比率も上がっていく。まだまだスケールする余地はあります」(山下さま)

    精度を追うより、誤り(読み取り/抽出)に気づける作業設計が品質を決めます。そして4年間の蓄積が、次の判断を支える。中央事務所が体得してきたのは、AI-OCRとの「現実的な付き合い方」です。

    「使えるかどうかわからない」ではなく、「どう使うか」を考える。その一歩が、業務を変えるきっかけになります。

    企業情報

    会社名

    司法書士法人中央事務所

    業種

    行政書士・司法書士事務所

    従業員数

    223名(2026年3月現在)

    設立年

    2017年

    会社の特徴

    司法書士法人中央事務所は、過払い金返還請求や債務整理に強みを持つ司法書士法人。全国対応・年中無休で相談料や着手金は無料。電話やWebで迅速に相談でき、依頼者の負担を抑えたサポート体制が特長です。

    ホームページ

    https://10-10-10.jp/

    ※本記事は2026年4月時点の取材内容に基づいています。
    ※所属部署・役職、ならびにPATPOSTの契約条件(利用料金等)は取材当時のものです。

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