TOPお役立ち記事生成AIの業務利用についての記事

「AIに仕事が奪われる」は本当?論文・データから専門家が解説

作成日:2026.6.15

更新日:2026.6.19

「AIに仕事が奪われる」は本当?論文・データから専門家が解説

*記事の内容は、記事公開日時点の情報です。現在とは異なる場合があります。

AI(人工知能)によって「仕事が奪われる」と言われることがありますが、具体的にどの仕事が・どの程度の割合で・どんな根拠で影響を受けるか、正確に理解されたうえでの主張は多くありません。

この記事では、論文や企業の公開情報をもとに、AIに奪われる仕事の特徴や具体例を交えて解説します。これからのキャリア戦略のためにも、個人が取るべき現実的な対策を紹介するため、ぜひ参考にしてください。

1.「AIに仕事が奪われる」は本当か?

「AI失業」という言葉が広まった背景や影響について、論文・データを元に整理して見ていきましょう。

1-1.AI失業という言葉が生まれた背景

AIの歴史は1950年代から始まり、技術の進化に合わせて何度かブームと衰退を繰り返してきました。2022年頃にはChatGPTなどの生成AIが急速に普及。これを「第4次AIブームが到来した」と指摘する声もあります。

生成AIが注目を集めた最大の理由は、これまで機械化が難しいとされてきた「知的労働(ホワイトカラー業務)」の中核タスク(例:文章やコードを書く、画像を作るなど)をこなせることです。
さらに普段使っている言葉で指示できるため利用ハードルが低く、料金も人件費と比べ低く抑えられる傾向にあることから「AIに仕事を奪われ、失業するかもしれない」といった不安が一気に広まりました。

同時に、米企業を中心に「AI投資」と「レイオフ(一時解雇)」が行われるケースが増加。AI失業はよりリアルな事象となり、社会不安をより加速させました。

1-2.「AIが仕事を奪う」の実態

では、AIは実際にどの程度の影響を及ぼしているのでしょうか。
IMF(国際通貨基金)は以下のように結論づけています。
「全世界の約40%、先進国では約60%の雇用が影響を受ける可能性がある」
また野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究では「日本の労働人口の約49%が、AIなどの新技術によって代替可能である」と試算しています。

このように「AIは雇用や仕事の約半数に影響を及ぼす」という見方は少なくありません。とはいえ「AIが仕事を奪う」といった結論を下すには、留保の余地があります。

多くの論文やデータから読み取れるのは、ある日突然特定の「職業」が消滅するのではなく、仕事の中の特定の「業務(タスク)」が自動化されていくシナリオです。例えば営業職そのものは無くなりませんが、メール作成や商談前のリサーチなどにはAIを活用できます。

さらに米国と日本では雇用様式に違いがあり、日本は「AI由来の解雇」がしにくい構造になっています。例えば以下のような特徴です。

  • 解雇規制

    日本では「整理解雇の4要件」という判例法理があり、米国と比べると解雇に至りにくい傾向にある

  • メンバーシップ型雇用

    日本企業の多くは「職務」ではなく「人」を採用するメンバーシップ型。特定の業務がAIに代替されても、その人を別の業務に異動させることが前提の組織体制になっている

  • 労働人口

    少子高齢化により、深刻な人手不足が続いている。人員削減よりも「足りない手を補いたい」というニーズが強く、AIが脅威になりにくい傾向にある。

以上を考慮すると、日本においては急激な解雇よりも、社内での役割シフトが主流になると考えられるでしょう。

参照:

野村総合研究所(英オックスフォード大学 マイケルA.オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究 2015)
https://www.nri.com/content/900037164.pdf
IMFブログ(日本版)
AIで世界経済が変わる。人類が恩恵を受けるようにすべきだ
https://www.imf.org/ja/Blogs/Articles/2024/01/14/ai-will-transform-the-global-economy-lets-make-sure-it-benefits-humanity

2.AIはどんな仕事を代替しているのか?

では実際に、AIはどんな仕事を代替しているのでしょうか。
本項では整理したうえで、具体例を見ていきます。

2-1.AIが実行できる5つのタスク

AIは大きく、以下の5つのタスクを実行することができます。このタスクを業務特性に合わせて組み合わせ実行することで、人間が行っていた業務の一部を代替することができます。

実行可能タスク

詳細

1.認識する

画像・動画を見る(外観検査、顔認証)
音声を聞く(文字起こし、感情検知)
文章を読む(OCR、文書解析)
センサーデータを読む(異常検知)

2.判断する

良品か不良品か、スパムかどうか
リスクが高いか低いか、どのカテゴリに属するか、などの判断をする

3.予測する

需要・売上、故障・離職・解約の予兆
価格・株価の変動などを予測する

4.生成する

音声・動画・コードを作る
質問に答える
翻訳・要約・言い換えをする

5.行動する

判断・予測をもとに自律的に動く

2-2.AIが活用されている仕事の例

では、AIが活用されている仕事の例を見ていきましょう。

2-2-1.データ入力

紙書類や音声などをデータ化する業務です。単純作業であり副業としても人気ですが、付加価値を生みにくい業務でした。
しかし近年はAIによって音声の文字起こし精度が向上。また画像を読み取りデータ化する「AI-OCR」が登場したことで、紙書類をシステムへ手入力する作業も自動化されつつあります。

例えば、手作業での入力が常態化していたチームにAI-OCRを搭載した製品を導入したことで、1〜2時間かかっていた作業を数十分に短縮したケースもあります*。

*PATPOSTの事例。導入企業の一例であり、実際の効果は業務内容により異なります。詳しくは下記をご参照ください。
購買戦略に集中するための選択──転記作業の心理的負担を削減したPATPOST導入

2-2-2.資料作成

ビジネスでは資料を作成する機会が多く「勤務時間の半数が資料作成」と答えるビジネスパーソンもいます。生成AIは文章やイラスト、図表なども生成できることから、資料作成に使われる事例も増えています。また「テキストで指示するだけで資料が数ページ作れる」といった資料作成用のAIエージェントも登場しています。

2-2-3.対応業務

FAQへの自動応答や問い合わせの振り分けにも、AIが活用されています。利用手続きの案内や問い合わせの一次対応といった「顧客向け」の対応のほか、「社内向け」として総務部などがAIチャットボットを導入し、問い合わせ対応にも使うケースもあります。また、オペレーター不足で電話を受けられず機会損失となる「あふれ呼」の予防にも役立てられています。

2-2-4.開発

生成AIはコードを書くこともできます。生成AI「Claude」を提供するAnthropic社は「Claudeに送信されたクエリの37.2%がソフトウェアエンジニアリング関連だった」というデータを公開しました。またGoogleのサンダー・ピチャイCEOも「新しいコードの25%以上がAIによって生成されている」と発言しています(2024年度 第3四半期決算説明会にて)。

2-2-5.製造

製造現場にもAIの導入が進んでいます。特に多様な商品を少量ずつ製造する「少量多品種市場」では、ロボットの活用が難しい傾向にありました。しかしAIをロボットに搭載することで複雑な判断や処理が可能になり「多様なニーズに応えた製造を自動化できる」と期待されています。その他、従来の目視検査をカメラ+画像識別AIが代替したり、故障を事前検知したりといった分野で活用されています。

参照:The Anthropic Economic Index
https://www.anthropic.com/news/the-anthropic-economic-index
経済産業省 2025年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/index.html

3.「人間にしかできない」仕事とはどういうものか

AIが台頭する社会では「将来的に、AIが人間より優れた判断をするのではないか」など、AIの進化に対して不安を感じる人もいます。しかし、AIはデータセットが小さい場合や、問いに対し複数の正解がある場面では適切な判断ができません。

本項では改めて「人間にしかできない仕事とは何か」を整理していきましょう。

3-1.人間固有の能力「EPOCHフレームワーク」

MITスローン経営大学院の研究では、AIが苦手かつ人間が得意な能力を、以下の5つで定義づけています。

頭文字

能力

E

Empathy and Emotional Intelligence
共感・感情的知性

P

Presence, Networking, and Connectedness
存在感・ネットワーク・つながり

O

Opinion, Judgment, and Ethics
意見・判断・倫理

C

Creativity and Imagination
創造性・想像力

H

Hope, Vision, and Leadership
希望・ビジョン・リーダーシップ

例えばステークホルダーと信頼構築を行ったり、意見を持って判断を行ったりすることは、職種を問わず一定求められる動きです。そのため人間固有の能力を活かしながら、AIとも協働することの価値が高まりを見せています。 

参照:
The Limits of AI in Financial Services Isabella Loaiza1 and Roberto Rigobon1 1Sloan School of Management, Massachusetts Institute of Technology
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=5196350

 3-2.「増える仕事」と「減る仕事」

とはいえ「“人間ならではのタスク”がどの程度の割合を占めているか」「人口がどう変化するか」など、職種ごとの求人数はさまざまな要因で増減します。雇用が増加/衰退傾向にある職種について、世界経済フォーラム(WEF)の「Future of Jobs Report 2025」は以下のように予測しました(2025〜2030年)。

増加傾向にある職種

農業労働者、配送ドライバー、建設労働者、販売員、食品加工労働者、看護師、ソーシャルワーカー、大学・高校教員、パーソナルケアスタッフ

衰退傾向にある職種

郵便局員、銀行窓口担当、データ入力担当、レジ係・チケット販売員、行政アシスタント・秘書、経理・給与担当、グラフィックデザイナー、法律秘書、テレマーケター

増加傾向にあるのは気候変動や人口動態の変化によって需要が増えており、かつEPOCHフレームワークの割合が大きく、AIなどの技術革新による影響が限定的な職種です。
一方、定型的な業務は技術革新の影響を受けやすいため、減少が予測されています。

また同時に「AIによって新たに生まれている・成長している職種」もあります。

<AIによって新たに生まれた&成長している職種(例)>

職種

業務内容

DXスペシャリスト

企業がAI・デジタルツールを実際の業務に組み込む移行プロセスを設計・推進する役割を担う

AI・機械学習スペシャリスト

モデルの設計・訓練・評価・改良を行う。生成AIの登場以前から存在したが、企業需要の急拡大で採用ニーズが増加

FinTechエンジニア

金融×テクノロジーの融合領域で、AIによる与信・リスク管理・自動取引の設計・実装を担う

データエンジニア/データアナリスト

AI活用の前段階として「使えるデータを整える」役割を行う

その他「プロンプトエンジニア」などAIの関連職が新たに登場しています。これらは新興的な職業であるため、同一の仕事でも企業や各国で呼び名が統一されていないこともあります。AI関連の職についての求人を検索したいときは、いくつかの表記を試してみると良いでしょう。

参照:世界経済フォーラム(WEF)The Future of Jobs Report 2025
https://www.weforum.org/publications/the-future-of-jobs-report-2025/

4. AI時代を勝ち抜くためのキャリア戦略

AIの到来はよく産業革命(世界の工場化)と比較されますが、違った点もあります。産業革命では「職種の消失」が起こりましたが、AI時代に変化するのは「仕事のやり方」であり、職種自体は残る傾向にあります。

このような現環境でキャリアを考えるにあたって必要なのは、自身の価値を継続的に再定義することです。今回は、AI時代にキャリア戦略を立てるうえで知っておきたい潮流を「テクニカルスキル」と「ポータブルスキル」の二軸で考えていきます。

4-1.テクニカルスキル|「AIを使うスキル」を身につける

テクニカルスキルとは「専門技術」のことです。例えば知識や資格、学部など、履歴書に書きやすいスキルが該当します。
テクニカルスキルは履歴書を見たらすぐ分かるため、採用の主要な判断軸として活用されてきました。これは今も継続的に重要視する企業が多く「企業の81%が職務経験を評価し続ける」という予想もあります(Future of Jobs Report 2025)。

そして、新たに求められているのが「AIスキル」です。
AIはあらゆる職種に導入できるため、世界的に「専門技術とAIスキルを掛け合わせられる人材」が求められています。またAIはDXとも関連がありますが「日本企業の85.1%がDX人材不足」という結果も出ており(DX動向2025)、ニーズは高まり続けると予想できます。

また実際に、AI人材への需要は賃金にも現れています。PwCが世界の求人を調査した研究では「AIスキルを持つ労働者は、同じ職種内で56%高い賃金を得ている」という結果が出ました。

「AIスキル」といっても広い定義(生成AIを業務に使える、AI出力を検証できるなど)から狭い定義(MLエンジニアやLLMファインチューニングなど)までさまざまですが、既存の専門技術とかけ合わせられるレベルのAI知識を身につけることも、1つのキャリア戦略となるでしょう。

一方で、テクニカルスキルの重要度は多少下火にある見方もあります。理由は「人間にしかできない仕事能力の有無は、履歴書を見ただけでは分からないから」です。

次項からは、AIに代替できない力である「ポータブルスキル」について触れていきます。

参照:
世界経済フォーラム(WEF)The Future of Jobs Report 2025
https://www.weforum.org/publications/the-future-of-jobs-report-2025/

独立行政法人 情報処理推進機構「AI 時代のデジタル人材育成」
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/discussion-paper/dx2025_digital_talent_ai_era.html

PWC「2025 Global AI Jobs Barometer」
https://www.pwc.com/gx/en/issues/artificial-intelligence/job-barometer/2025/report.pdf

4-2.ポータブルスキル|自身の持つ「人間ならではのスキル」を整理する

ポータブルスキルとは「持ち運び可能な汎用的スキル」のことです。例えば交渉力や課題解決力などが該当します。先述したEPOCHフレームワークもポータブルスキルの一部です。

<ポータブルスキルの例>

  • コミュニケーション力

  • 論理的思考力

  • 推進力

  • 支援力

  • マネジメント力 など

このポータブルスキルは、AI時代において重要度が上がっています。理由は以下の2点です。

  1. AIに代替できない「人間ならでは」のスキルだから

  2. AI技術の進化が早いから

AIは著しい進化を遂げており、できることが日々変わっています。そのため回復力、柔軟性、機敏性、リーダーシップなど、早い変化や不確実性に対応できるスキルを持った人材を求める企業が増加しました。

そのため、採用では履歴書だけでなく、心理測定テストなどで候補者の行動特性や認知能力、企業文化への適合性を評価することへの注目が高まっています。

ポータブルスキルは人によって違い、活かし方もさまざまです。自分のポータブルスキルを把握したい方は、厚生労働省の「ポータブル見える化ツール」で簡易的に診断することができます。

また、キャリアコンサルタントなどに依頼すると、より明確に自分の強みを把握することができるでしょう。

厚生労働省「ポータブル見える化ツール」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/VocationalAbilityDiagnosticTool/Step1

よくある質問と答え(Q&A)

AIに仕事を奪われる可能性があるのはどんな仕事?

A.完全に奪われるわけではありませんが、データ入力担当、銀行窓口担当、一般事務・行政アシスタントなど、定型的な業務や論理的に構成できる作業はAIに代替されつつあります。

AI時代に身につけるべきスキルは?

A.次の大きく2つです。①「テクニカルスキル」としてAIスキルを身につけ、自分の専門領域にAIスキルを掛け合わせる。②「ポータブルスキル」として、共感・判断・創造性といった人間固有の能力を伸ばす。

まとめ

企業の競争力を維持するためには、時代の変化にあわせて適切に人員配置をしていく必要があります。人の可能性に投資するためにも「AIに任せられる箇所は任せ、人間は人間にしかできない役割に集中できる」環境を整えてみてはいかがでしょうか。

おすすめは、データ入力や事務職などの定型業務です。
特に請求書、発注書、契約書などの書類処理は、AI-OCRによって効率化しやすい領域です。定型的な入力作業を削減することで、従業員は確認・判断・改善提案など、より付加価値の高い業務に集中できます。

そんな書類のデータ化には、AI-OCR搭載の文書管理サービス「PATPOST」の活用もご検討ください。生成AIが書類のデータ化を効率化し、電子帳簿保存法の法的要件を満たした形での書類保管も可能です*。

機能概要はこちら

*電子取引データ保存の場合は、別途、訂正・削除防止に関する事務処理規程の制定・遵守が必要となります。

執筆者プロフィール

AIエンジニア/データサイエンティスト
五月女 亮(さおとめ りょう)

2021年 JDLA E資格 #1合格。2021年からフリーランスとして独立、主に画像解析のエンジニアとしての業務のかたわら、副業としてAIを利用した広範な案件に従事している。2023年 JDLA Generative Test 2023 合格。全国高専生ディープラーニングコンテスト(2023,2024)のテクニカルアドバイザーとしても活動中。

*記事の内容は、記事公開日時点の情報です。現在とは異なる場合があります。

  • サービスの概要・料金についてや文書管理に関するお悩みなどお気軽にお問い合わせください。

    よく読まれている記事

    おすすめのお役立ち資料

    おすすめのセミナー

    おすすめの記事